Power Queryエディターの画面構成と「適用したステップ」
このページのゴール
Power Queryエディターを開いたとき、画面のどこに何があるかを把握し、「適用したステップ」を自在に操作できるようになることです。エディターの構造を理解しておくと、このあとの変換操作すべてがスムーズになります。
エディターを開く方法
エディターを開く方法は複数ありますが、最もよく使うのは次の2つです。
方法① 新規にデータを取り込むとき
データ タブ → データの取得 → 取り込みたいソースを選択し、ナビゲーターで対象を選んだあと「データの変換」ボタンをクリックすると、エディターが開きます。「読み込み」を押すと変換なしで直接シートに出力されるので、まずは「データの変換」を選ぶ癖をつけましょう。
方法② 既存のクエリを編集するとき
データ タブ → クエリと接続 で右サイドに一覧が表示されます。編集したいクエリをダブルクリック、または右クリック →「編集」でエディターが開きます。
エディター画面の5つのエリア
エディターを開くと、大きく5つのエリアが見えます。初めて見ると情報量が多く感じますが、それぞれの役割を知れば怖くありません。
【スクリーンショット挿入位置:エディター全体のキャプチャに①〜⑤の番号を振った画像】
| # | エリア名 | 場所 | 役割 | 最初のうちの使い方 |
|---|---|---|---|---|
| ① | リボン | 画面上部 | すべてのGUI操作ボタンが配置されています。主に使うのは ホーム・変換・列の追加 の3タブです。 「ホーム」は列の削除・型変換・読み込みなど基本操作、「変換」は既存の列を書き換える操作、「列の追加」は元の列を残したまま新しい列を作る操作に使います。 |
まずは「ホーム」タブだけ触れば十分です。慣れたら「変換」と「列の追加」の違いを意識しましょう。 |
| ② | 数式バー | リボンの直下 | 現在選択している「ステップ」のM言語コードが表示されます。GUIでボタンを押すたびに、裏側ではここにM言語が自動生成されています。 | 最初は読めなくて大丈夫です。ただし、表示されていない場合は 表示タブ → 数式バー にチェックを入れてください。あとでトラブル解決のヒントになります。 |
| ③ | データプレビュー | 中央の大部分 | データの現在の状態がリアルタイムで表示されます。列のヘッダーにはデータ型アイコン(ABC、123、日付アイコンなど)が付いています。 | ここを見ながら「ちゃんと変換できているか?」を常に確認します。先頭の数百行しか表示されていない点に注意してください(全行のプレビューではありません)。 |
| ④ | クエリの設定(右パネル) | 右側 | 上半分がクエリ名(ダブルクリックで変更可能)、下半分が「適用したステップ」の一覧です。これがPower Query最大の特徴で、操作の「履歴」がすべてここに積み重なります。 | 毎回ここを確認しましょう。不要なステップはここで削除できます。 |
| ⑤ | クエリ一覧(左パネル) | 左側 | ブック内にあるすべてのクエリがリスト表示されます。フォルダ取り込みなどで複数クエリが自動生成された場合、ここで切り替えます。 | クエリが1つだけなら気にしなくてOKです。増えてきたら整理に使います。 |
左パネル(クエリ一覧)が消えている場合は、表示タブ → クエリの設定 にチェックを入れてください。右パネル(適用したステップ)も同様に 表示タブ → クエリの設定 で表示をオンにできます。
3つの主要タブ ―「ホーム」「変換」「列の追加」の違い
リボンには「ファイル」「ホーム」「変換」「列の追加」「表示」の5タブがありますが、実際にデータ変換で使うのは中央の3つです。
| タブ | 何をするタブか | ボタンの例 | 結果 |
|---|---|---|---|
| ホーム | テーブル全体の管理と、最も基本的な操作 | 列の削除、行の削除、データ型変更、閉じて読み込む、クエリのマージ/追加 | 列や行の数が変わる。データが出力される。 |
| 変換 | 既存の列を書き換える | 書式(トリム、大文字…)、値の置換、抽出、分割、フィル、ピボット解除 | 元の列のデータが上書きされる |
| 列の追加 | 元の列を残したまま、新しい列を追加する | 条件列、カスタム列、インデックス列、例からの列、重複する列 | 元の列はそのまま残り、右端に新しい列が追加される |
「変換」タブと「列の追加」タブには、同じ名前のボタン(たとえば「抽出」「書式」)が並んでいます。どちらのタブで操作したかによって、元の列が書き換わるか・新しい列ができるかが変わります。迷ったら「列の追加」タブで操作して、うまくいったら元の列を削除するのが安全です。
「適用したステップ」を使いこなす
Power Queryの最大の特徴は、すべてのGUI操作が「ステップ」として記録されることです。Excelのセル操作は「やり直し」が1回ずつしかできませんが、Power Queryでは操作の履歴がすべて右パネルに残り、いつでも任意のステップに戻れます。
ステップを読む
適用したステップの一覧にある各ステップ名をクリックすると、データプレビューがその時点の状態に切り替わります。つまり「3ステップ前はどうなっていたか?」をワンクリックで確認できます。
操作手順:ステップ間を行き来する
1. 右パネル「適用したステップ」の一覧から、確認したいステップ名をクリックします。
2. データプレビューがそのステップ完了時点の状態に変わります。
3. 最後のステップをクリックすれば、現在の最終状態に戻ります。
ステップを削除する
不要なステップは、ステップ名の左にある × ボタンをクリックすると削除できます。たとえば「間違えてトリムしてしまった」場合、そのステップの × を押せばトリム前の状態に戻ります。
ステップは上から順に処理されるため、途中のステップを削除すると、それ以降のステップが「前提としていたデータ」が変わってしまい、エラーが出ることがあります。たとえば「列名を変更したステップ」を削除すると、後続のステップが変更後の列名を参照しているためエラーになります。その場合は、後続のステップも含めて調整が必要です。
ステップ名を変更する
自動生成されるステップ名(「削除された列」「変更された型」など)は、ステップが増えると何をしたか分かりにくくなります。ステップ名を右クリック →「名前の変更」で、「01_不要列を削除」のようにわかりやすい名前に変えられます。実務で10ステップ以上になるクエリでは、この習慣が後々の保守を楽にします。
途中にステップを挿入する
「あのステップとこのステップの間に、もう1操作入れたい」という場面があります。
操作手順:途中にステップを挿入する
1. 挿入したい位置の1つ前のステップをクリックして選択します。
2. データプレビューがその時点の状態になります。
3. その状態で、新しい操作(たとえば列の削除など)をGUIで実行します。
4. 「このステップの後に挿入しますか?」という確認ダイアログが出るので「挿入」をクリックします。
5. 新しいステップがその位置に挿入され、後続のステップが1つずつ繰り下がります。
ステップを最小限にまとめたくなりますが、各ステップに明確な意味を持たせて分けておく方が、あとから見返したときにわかりやすくなります。ステップが多いこと自体は処理速度にほぼ影響しません。
データ型アイコン一覧
データプレビューの列ヘッダー左端に小さなアイコンが表示されています。これはその列のデータ型を示しています。型が正しくないと、後続の操作(フィルターや計算)で予期しない結果になるため、取り込み直後に確認する習慣をつけましょう。
| アイコン | データ型 | 具体例 | よくある問題 |
|---|---|---|---|
| ABC | テキスト | 田中太郎、A-001 | 数値なのにテキストになっている → 計算できない |
| 123 | 整数 | 100、-5 | 小数を含むデータに整数型を指定 → 小数部分が切り捨てられる |
| 1.2 | 10進数 | 3.14、99.9 | 通貨と混同しやすい |
| 日付アイコン | 日付 | 2026/03/21 | MM/DD形式とDD/MM形式の取り違え(ロケール問題) |
| 日時アイコン | 日付/時刻 | 2026/03/21 14:30 | 日付だけほしいのに時刻が付いてくる → 型を「日付」に変更 |
| TRUE/FALSE | 論理値 | TRUE、FALSE | 0/1やYes/Noがテキストのまま → 論理値に変換が必要 |
「閉じて読み込む」と「閉じて次に読み込む」の違い
エディターでの変換が終わったら、データをExcelシートに出力します。このとき、左上の「閉じて読み込む」ボタンに2つの選択肢があります。
| 操作 | 動作 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 閉じて読み込む | 新しいシートが自動作成され、そこにテーブルとして出力される | とりあえず結果を見たいとき。最初はこれでOK。 |
| 閉じて次に読み込む | 出力先の選択ダイアログが表示される。テーブル/ピボットテーブル/接続のみ を選べるほか、出力先のシートとセルも指定可能。 | 既存のシートの特定位置に出力したいとき。接続のみにするとシートにデータを出さず、他のクエリからの参照用にだけ残す使い方もできる。 |
クエリ数が増えてくると、すべてをシートに出力するとブックが重くなります。中間加工用のクエリは「接続のみ」にして、最終結果のクエリだけをテーブルやピボットテーブルに出力するのが効率的です。
まとめ
このページで覚えておきたいことは3つです。
第一に、エディター画面は「リボン」「数式バー」「データプレビュー」「クエリ設定(右パネル)」「クエリ一覧(左パネル)」の5エリアで構成されていること。特にリボンの「ホーム」「変換」「列の追加」の3タブの役割を知っておけば、どのボタンを探せばよいかすぐわかります。
第二に、「変換」タブは元の列を書き換え、「列の追加」タブは元の列を残して新しい列を作る。同じ名前のボタンでも結果が違うので、迷ったら「列の追加」から始めるのが安全です。
第三に、「適用したステップ」はPower Queryの心臓部です。ステップをクリックして過去の状態を確認する、×で削除する、途中に挿入する、名前を変えて整理する ― この4つの操作ができれば、あとの変換作業すべてに自信を持って取り組めます。