取り込んだ直後にやる5つの定番操作

このページのゴール

CSVやExcelファイルをPower Queryに取り込んだ直後に、毎回ほぼ必ず行う5つの操作を身につけます。この「取り込み直後ルーティン」を覚えるだけで、Power Queryの作業全体がスムーズになります。

5つの操作の全体像

① ヘッダー昇格 ② 不要列の削除 ③ 列名の変更 ④ データ型の設定 ⑤ 不要行の削除

この順番には理由があります。ヘッダーが正しくないと列名で操作できないため最初に直し、列を減らしてから名前を変え、型を設定し、最後にデータ行を整理します。一つずつ見ていきましょう。

サンプルデータ ― こんなデータを想定します

たとえば社内システムからエクスポートしたCSVを取り込んだら、こんな状態だったとします。

Column1Column2Column3Column4Column5Column6
出力日:2026/03/20nullnullnullnullnull
社員番号氏名部署コード部署名入社日基本給
001 田中 太郎 A10営業部2020/04/01280000
002佐藤 花子B20経理部2018/07/15310000

問題点は明らかです。1行目に「出力日」の余計な行があり、ヘッダーがColumn1〜Column6のまま、列名が2行目にある、社員番号が先頭ゼロ付きのコード、氏名に余計な空白が含まれている…。これをきれいに整えていきます。

ステップ① 1行目をヘッダーにする(ヘッダー昇格)

取り込んだデータのヘッダーがColumn1, Column2…になっている場合、本来のヘッダー行をヘッダーとして昇格させる必要があります。しかし今回のサンプルのように1行目に余計なデータがある場合は、まずその行を削除する必要があります。

操作手順(不要な先頭行がある場合)

1. ホーム タブ → 行の削除 → 上位の行の削除 をクリックします。
2. 「行数」に 1 を入力して「OK」をクリックします。これで「出力日:…」の行が消えます。
3. 次に ホーム タブ → 「1行目をヘッダーとして使用」 をクリックします。
4. Column1〜Column6 が「社員番号」「氏名」…に変わります。

もし最初から1行目に正しいヘッダーがある場合は、手順3だけでOKです。Power Queryは取り込み時にヘッダーを自動認識することも多いですが、うまくいかない場合はこの操作を使います。

逆操作:ヘッダーを1行目に戻す
間違えてヘッダー昇格してしまった場合や、データ加工のためにヘッダーを一旦データ行に戻したい場合は、変換タブ → 「ヘッダーを1行目として使用」で元に戻せます。

ステップ② 不要な列を削除する

たとえば「部署コード」は分析に使わないので削除したい、というケースです。列の削除には2つの方法があり、どちらを選ぶかで将来の保守性が大きく変わります。

方法A:「列の削除」― 指定した列を消す

操作手順

1. 削除したい列のヘッダーをクリックして選択します(複数列は Ctrl+クリック)。
2. ホーム タブ → 列の削除 → 列の削除 をクリックします。
3. 選択した列が消えます。

方法B:「他の列の削除」― 残したい列以外すべて消す

操作手順

1. 残したい列のヘッダーをクリックして選択します(複数列は Ctrl+クリック)。
2. ホーム タブ → 列の削除 → 他の列の削除 をクリックします。
3. 選択した列だけが残り、それ以外がすべて消えます。

実務では「他の列の削除」を強くおすすめ
元データに将来新しい列が追加されても、「他の列の削除」なら必要な列だけを明示的に指定しているため、新しい列が勝手に紛れ込みません。「列の削除」だと、知らないうちに不要な列がクエリに残り続けるリスクがあります。Power Queryの長期運用では、「残すものを指定する」思考が鉄則です。

Before / After

Before(6列)

社員番号氏名部署コード部署名入社日基本給
001田中 太郎A10営業部2020/04/01280000

After(4列 ― 部署コード・部署名を除外)

社員番号氏名入社日基本給
001田中 太郎2020/04/01280000

ステップ③ 列名を変更する

システム出力のデータは「EMP_NO」のような英語の列名や、長すぎる列名になっていることがあります。Power Queryでの作業効率と、最終出力の見やすさのために、わかりやすい列名に変更しましょう。

操作手順

1. 列のヘッダーをダブルクリックします。
2. 編集モードになるので、新しい列名を入力します。
3. Enterキーで確定します。
※右クリック →「名前の変更」でも同じことができます。

列名変更は1つのステップにまとめるのがベスト
列名を1つずつ変更すると、変更のたびに新しいステップが追加されます。複数列の名前を変えたい場合は、最初の列名を変更した直後に(他の操作を挟まずに)続けて残りの列名も変更すると、Power Queryが自動的に1つのステップにまとめてくれます。ステップが増えすぎるのを防げます。

ステップ④ データ型を正しく設定する

Power Queryは取り込み時にデータ型を自動推定しますが、これが正しくないことがよくあります。特に「日付がテキストになっている」「先頭ゼロの社員番号が数値として認識されてゼロが消える」は頻出トラブルです。

データ型を変更する4つの方法

方法操作特徴
A. アイコンクリック 列ヘッダー左のデータ型アイコン(ABCや123)をクリック → 表示されるリストから型を選択 最も手軽。1列ずつ変更するときに便利。
B. ホームタブ 列を選択 → ホーム タブ →「データ型」ドロップダウンから選択 複数列を選択してまとめて変更したいときに。
C. 右クリック 列ヘッダーを右クリック →「型の変更」→ 型を選択 マウスを動かす距離が少ない。
D. 自動検出 変換タブ →「データ型の検出」 全列を一括で自動推定。ただし結果を必ず確認すること。

「ステップを置き換えますか?」ダイアログの対処

型変更をすると「現在のステップを変更しますか、それとも新しいステップを追加しますか?」というダイアログが出ることがあります。これは直前にも型変更ステップがある場合に表示されます。

「現在のステップを置換」を選ぶと、直前の型変更と今回の型変更が1つのステップにまとまります。「新しいステップの挿入」を選ぶと、別々のステップとして残ります。通常は「現在のステップを置換」を選んで、型変更を1ステップにまとめるのがすっきりします。

先頭ゼロ付きコードを守る

「001」「002」のような社員番号やJANコードは、整数型にすると「1」「2」になってゼロが消えます。こうしたコード列は必ずテキスト型(ABC)を指定してください。自動検出で数値にされていないか、取り込み直後に確認することが重要です。

日付のロケール問題
「03/04/2026」は日本では3月4日ですが、アメリカ形式では4月3日と解釈されます。型変更で「日付」を選んでもうまくいかない場合は、型アイコンをクリック →「ロケールを使用…」→ 日本語(日本)を選択してください。

ステップ⑤ 不要な行を削除する

先頭の説明行(ステップ①で対処済み)以外にも、末尾の合計行や、途中の空白行・エラー行を取り除く必要があることがあります。

末尾の合計行を削除する

操作手順

1. ホーム タブ → 行の削除 → 下位の行の削除 をクリックします。
2. 「行数」に削除したい行数(合計行が1行なら「1」)を入力して「OK」。

エラー行を削除する

操作手順

1. エラーのある列のヘッダーをクリックして選択します。
2. ホーム タブ → 行の削除 → エラーの削除 をクリックします。
3. その列にエラーが含まれる行がすべて削除されます。

null・空白行を削除する

操作手順(フィルターを使う方法)

1. 基準となる列(社員番号など、必ず値があるべき列)のヘッダーのドロップダウン矢印をクリックします。
2. フィルターの一覧で 「null」のチェックを外す、または「空の削除」をクリックします。
3. nullや空白の行が非表示になります。

「null」と「空白(空文字列)」は別物
Power Queryでは、セルに何も入っていない状態(null)と、長さゼロの文字列(""、空文字列)は区別されます。フィルターで null を外しても空文字列は残ります。両方削除したい場合は、まず値の置換で "" を null に変換してからフィルターする方法が確実です。

実践例 ― 5つをつなげてやってみる

サンプルデータに5つの操作を順番に適用した結果がこちらです。

Before(取り込み直後)

Column1Column2Column3Column4Column5Column6
出力日:2026/03/20nullnullnullnullnull
社員番号氏名部署コード部署名入社日基本給
001 田中 太郎 A10営業部2020/04/01280000
002佐藤 花子B20経理部2018/07/15310000

After(5操作完了後)

社員番号(テキスト)氏名(テキスト)入社日(日付)基本給(整数)
001 田中 太郎 2020/04/01280000
002佐藤 花子2018/07/15310000

適用したステップ一覧は次のようになっています:ソース → 上位の行の削除 → 1行目をヘッダーとして使用 → 他の列の削除 → 名前の変更 → 変更された型。計6ステップで、データが使える状態に整いました。なお氏名の余計な空白(全角スペース等)は、次のページ「テキスト列を整形する」で処理します。

まとめ

データを取り込んだ直後に行う5つの操作は、Power Queryでの作業の「準備運動」です。ここをきちんと行うかどうかで、後続の変換作業の効率がまったく変わります。特に覚えておいてほしいのは、列の削除は「他の列の削除」を使うこと、先頭ゼロのあるコード列は必ずテキスト型にすること、型変更のステップは1つにまとめることの3点です。この5操作をルーティンとして体に覚え込ませたら、次のステップ「テキスト列の整形」に進みましょう。